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「……今日もいい天気やな~」
女性が、誰に言うでもなく呟く。
「…毎日がこんなにのんびりできたらな~」
女性はいかにも高級そうな椅子に座り、だらけていた。
尻を置く所に腰をつけ、だらしなく足を伸ばす。彼女の纏っている真紅のドレスは乱れ、細く美しい足を太ももの半分まで見せている。
女性の髪は黒、それを無造作に肩までのばしてる。
「クリス様、その格好は少し…」
「ええやん、今日は特に誰もこうへんやろ?」
部屋に入ってきた薄緑のショートヘアのメイドの言葉にやる気なく反論する。
「いえ、今日はタマモ様がお見えになると…」
メイドが恐る恐る口にするが、欠伸をしていて女性はろくに聞いていない。
「…せや、もう予定ないやんか、なら」
身長の四倍はありそうな窓を開けて、息を吸い込む。
「アカ公ー!」
思い切りさけんだ。
数秒間待つと、赤い体で人間の数十倍ありそうな巨大な竜が窓の近くに降り立った。
「ナユタ! ちょっといくで!」
開いていた扉の所でぼーっと突っ立っていた男に言い、指していた指を自分側に曲げる。
「うわっ!」
男はいきなり引き寄せられ、女性とともに竜の背中に着地した。
「アカ公、ライウィンドまで頼むわ!」
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