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二人の右手が相手に向けられる。
「こんな人間側の土地で究極魔法のぶつかり合うなんて…」
究極魔法とは、伝説魔法すら凌駕する最強の魔法。
現在いまだ五種類しか発見されていないが、威力は伝説魔法の比ではなく、街一つを簡単に破壊する。
だがその分術の習得も厳しく、使う魔力量も多大だ。
ナユタは何度目かわからないほどのため息をつき、とても数え切れない刀をだす。
「対魔法の武器はこれくらいか、防げるかな?」
ナユタは刀を球状に並べる。
そして、それをクリスと黒の少女の間の、二人の手より高い位置に浮かべた。
「デストロイワールド」
「インクロズワールド」
黒の少女から出た炎と、クリスから出た雷が迸る。
炎を雷が覆い、炎は膨らんでいく。
「ほんで、アイソレートアーク」
クリスが左手の指を鳴らすと、半透明の空間が炎と雷を包み込んだ。
「行け!」
ナユタの号令と同時に空間の周りを刀が囲んだ。
「…終いや」
空間が光り輝き、全てを覆い尽くした。
「…流石です」
ナユタが刀をまとめながら言う。
「守護魔法間に合わないかと思いました」
「たしかに、あたしも危ない思たわ」
クリスは紋様を消し、腕をくんでいる。
「被害もナシ、あなたも酒のんで騒いで、満足ですね? もう帰りますよ」
「せやなぁ、お金は置いてきたし問題もなさそうやし」
二人は振り返り竜を潜ませた森に向かいだした。
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