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「マキア、さっきも言ったけど絶対に目を反らすな」
「…わかりました」
マキアはライガが警戒するほどの敵だと思っていた。
しかし、マキアの予想とは全く違うものだった。
ライガ達の視線の先。
「ねえ、逃げよう。この人達には勝てないよ!」
「逃げてどうするんだよ! 苦しくても痛くても、ここにいないと俺達は生きられないんだ!」
「お母さん、どこに行っちゃったのぉ?」
「こ…れは」
十歳ほどの三人の子供だった。
しかし、彼らは普通の人間ではなかった。
逃げようと言った少女、彼女の肘から先は、魔犬種という種類に共通する毛と巨大な爪をもっていた。
次に戦うことを選択した少年。
顔や体の至る所に青い竜の鱗が付き、背中には翼が生えていた。
そして母親を探す少女。
長く、多い髪で隠しているが、黄色の角が見え隠れしている。
少女は母親を探すばかりで、ライガ達のほうを見向きもしない。
加えて前髪で目も隠れていて、表情も読み取れない。
三人を見たあと、思わずマキアは目をそらそうとする。
「マキア、背けるな」
「彼らは…どうして」
三人の体にはいくつもの怪我があり、その中に鞭で叩いたような物がある。
「…わかってるだろう、
この子達が、半魔族だってこと」
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