sideライガ overwhelm

10/14
前へ
/63ページ
次へ
「マキア、さっきも言ったけど絶対に目を反らすな」 「…わかりました」 マキアはライガが警戒するほどの敵だと思っていた。 しかし、マキアの予想とは全く違うものだった。 ライガ達の視線の先。 「ねえ、逃げよう。この人達には勝てないよ!」 「逃げてどうするんだよ! 苦しくても痛くても、ここにいないと俺達は生きられないんだ!」 「お母さん、どこに行っちゃったのぉ?」 「こ…れは」 十歳ほどの三人の子供だった。 しかし、彼らは普通の人間ではなかった。 逃げようと言った少女、彼女の肘から先は、魔犬種という種類に共通する毛と巨大な爪をもっていた。 次に戦うことを選択した少年。 顔や体の至る所に青い竜の鱗が付き、背中には翼が生えていた。 そして母親を探す少女。 長く、多い髪で隠しているが、黄色の角が見え隠れしている。 少女は母親を探すばかりで、ライガ達のほうを見向きもしない。 加えて前髪で目も隠れていて、表情も読み取れない。 三人を見たあと、思わずマキアは目をそらそうとする。 「マキア、背けるな」 「彼らは…どうして」 三人の体にはいくつもの怪我があり、その中に鞭で叩いたような物がある。 「…わかってるだろう、 この子達が、半魔族だってこと」
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加