sideライガ overwhelm

11/14
前へ
/63ページ
次へ
半魔族とは、人間と魔族の間に生まれる子供である。 生まれた子供は力に目覚め、すぐに親の力を凌駕する。 しかし、人間と魔族が敵対している今、この半魔族は虐げられている。 半分人間、半分魔族のこの外見から、どこへいっても疎まれる。 「ここは、半魔族の実戦投入のための訓練所か」 必死に槍を持って向けている少年をライガは見つめる。 「なあ、君」 胡座をかいてすわる。 「君は、どうしてここにいるんだ?」 できるだけ優しく、警戒させないように。 「う、うるさい! 黙れ!」 少年は槍を向けたまま叫ぶ。 「君らは、半魔族だね?」 少年の顔が、一気に泣きそうになる。 「半魔族で何が悪いんだよ!」 叫び、槍を振り回す。 その穂先の手前の棒部分がライガの顔にぶつかる。 「こ、怖くなんて、なんてない!」 目を閉じて槍を前に掲げ走る。 肉を貫く音がする。 「…悪くなんて、ない」 少年が恐る恐る目を開けると、間近でライガが笑っていた。 「半魔族でも、こうやって…必死に生きてる。 生きるのを頑張ってるやつが、悪いわけない。 人間も魔族も、半魔族だって」 槍はライガの腹に刺さっていた。 痛いはずなのに、ライガは微笑み、頭を撫でる。 少年は最初は我慢しようとしていたが、ついには泣き出した。 それに続いて残りの二人もライガに近づいて泣き出した。
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加