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「人間も殺される寸前の奴隷を使っているのだぞ、奴らも人間の未来の礎となるなら本望のはずだ!」
「部外者が決めつけるんじゃねえよ!」
ガラシドを投げ飛ばす。
「行くところのない半魔族を有効活用することの、何がわるいと言うのだ!」
「半魔族を作り上げといて有効活用だ? 半魔族は兵器じゃねえんだよ!」
「半分人間でない時点でもう奴らは魔族だ! 人間でない物を人間として扱わないで何が悪い」
「…駄目だ、吐き気がする」
ライガはもう一度ガラシドを掴み、今度は思い切り壁に投げ飛ばす。
「てめえとはもう話す気はない、平行線だ」
壁にめり込んだガラシドは必死に脱出しようとしている。
「あんたは、人間でも魔族でもない、それよりひどい」
腰を使ったので傷から血を吹き出す。
「ヒトをやめた悪魔だ」
それでも平然と歩き、ガラシドの前にたつ。
「来世ではもうちょっとマシな人間になれ」
ライガの右腕が、ガラシドの腹を貫く。
「これをやるのは随分久しぶりだな」
ライガの腕に見えない何かがたまっていく。
ガラシドの腹から出た血が溜まり、一滴落ちた瞬間。
「解放」
溜まった何かがはじける。
「何だ、あれ」
竜の鱗をつけた少年がつぶやく。
「有言実行なのは前から知っていたが、今回ばかりはな…」
マキアは城『だった』場所を見渡す。
「あのお兄ちゃんは?」
巨大な爪の少女はマキアに尋ねる。
「探すの、手伝ってくれるか?」
「うん!」
「その必要はないよ」
瓦礫の山からライガが這い出てくる。
「よし、帰ろう」
「と言う割にボロボロじゃないですか」
「たしかにな」
ライガは笑っているが、明らかに足がふらついていた。
「はい」
マキアは背中を向けてしゃがんでいた。
「乗ってください、でないと帰るのが遅くなります」
「かっこつかないけど、頼むわ」
ライガを乗せて、三人と一匹が帰って行く。
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