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「ほう、アオイの息子…」
ユキムラはソウマの周りを歩き回り、目や顔をよく見る。
「たしかに、アオイの面影があるな、認めよう。
して、この老いぼれに勇者達がなぜ来た?」
「俺達を鍛えてほしいのです」
ソウマが話を続けようとしたら、さえぎられた。
「まずは上がりなさい。飯をご馳走しよう、それにもう暗いから明日だ、それでも遅くはない」
「そうか、『六角』のナユタにやられたか」
ユキムラの家に泊まった次の昼前、畳がしかれた広い部屋でソウマの話を聞く。
「その頃にはもうあんなに強かったのですか?」
「いや、頭角を表したのは二十年ほど前からだ、幹部との戦いは避けて、魔王の討伐だけを目的としたあの時にはいなかった」
ユキムラは立ち上がりどこかの部屋から刀を取ってきた。
「一人ずつかかってきなさい」
鞘を抜き取り半身の形を取る。
「じゃ、まずは俺からいかせてもらいます」
ケンシンが鎖が柄についた日本刀を構える。
「こい」
ケンシンは刀を低く構え、右足で力強く地を蹴った。
ユキムラの斬撃を屈んでかわし左足で加速、横に薙ぐ。
それを回転して刀で受け止める。
ケンシンは攻撃の勢いそのままにユキムラに背中を向ける。
「やってみっか」
ケンシンは小さく呟くと柄の鎖を手に巻いた。
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