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扉の先は、不透明の魔力が揺らめいていて見えない。
「みんな」
通ろうとした二人をソウマが引き止める。
「少しの間会えないだろうけど、またここで会う時までに、もっと勇者らしく強くなるから」
ソウマはいつもの鋭い目つきではなく、笑っていった。
「みんなも強くなって、俺を助けてくれ」
「…おう!」
「うん」
「もちろんです!」
そして、三人は扉をくぐっていった。
扉はひとりでに閉まる。
それをユキムラが石に戻す。
「ユキムラさん! これじゃみんなが帰ってこれないじゃないですか!」
ケンシンが叫ぶ。
「今は扉を残す必要はないのだ」
どうして、とケンシン。
それに対して、当然だろう、とユキムラは呟く。
三か月は会わないのだから、ともユキムラは言った。
「さて、こちらも始めるぞ、ついてきなさい」
ユキムラの後についていくケンシン。
「…これからお前には、ある術を教える」
「…あの、俺魔法の才能ないんですけど」
「何を言っておるか、魔法ではない、術だ」
ユキムラは、先程の部屋よりだいぶ狭い部屋についた。
「これからお前には、私の使う『具現術』を教える」
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