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「見えてきたで、ライウィンド」
クリスが指差したのはこれといって特徴のないただの村だった。
「相変わらず穏やかなところですね」
「人間の領地の端っこにあるここが平和。めっちゃええことやん」
「たしかに、ですね」
ライウィンドの少し遠くに竜を下ろし、徒歩で行く。
「なあ、もうあたしが魔王なのばらしてええか?」
「何目開けて寝言言ってんですか」
「ヒドッ! これでもあたしあんたらの王なんやけど!?」
「どうして身の上を話さなきゃいけないんです?」
「だって、気楽やん、魔王ってバレてもあんま問題なさそうやん」
「あなたが気楽になっても、ライウィンドの方は面倒くさくなります、たしかにライウィンドの人は魔族は慣れているでしょうがさすがに魔王ともなれば話は別です、バー行けなくなるのは困るでしょう?」
ナユタが丁寧に諭すと、クリスは悲しそうなな表情をした。
「たしかにそれはいややな、友達いなくなるのは嫌や」
「なら隠しましょうね」
「わかった、我慢する」
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