11月のお題。

4/11
前へ
/11ページ
次へ
*** あたしと真弓ちゃんは少し小洒落た喫茶店へ入った。 「あれ、星野と山中(やまなか)じゃん!」 あたし達が入ったと同時にウエイターが声をかけてきた。 「う~ん……。 何処かであったような」 ウエイターの顔を見て真弓ちゃんは首を傾げた。 確かにこの丸顔で背が低く角刈りの眼鏡男は……。 「太~。 何女の子を口説いてるんだ?」 彼の後ろからもう一人男性が現れた。 太……。 思い出した。 細川 太だ! 細いか太いかわからなかったアイツか! 「違う、違う。 太郎、よく見てみろよ。 星野と山中だよ~」 太はあたし達を指差した。 スラリとしてかなりイケメンなこの人は……。 覚えやすい名前の田中 太郎(たなか たろう)だ! 「おお! マジかよ! 超久しぶりじゃん!」 キラキラの笑顔で太郎はあたし達を見た。 「うはぁ~。 太君と太郎君だったの? 大人っぽくなってて気づかなかったよ~」 真弓ちゃんは驚きのあまり口をあんぐりと開けている。 「ホントよね。 田中君なんかまた背が伸びたんじゃない?」 太郎を見あげてあたしは言う。 「へへん。 5センチ伸びました!」 自分の頭に手をかざし太郎は自慢する。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加