言葉

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「全員、助からなかったそうだよ」  国選弁護士、という方が私に教えてくれたのは、そんな既知のことだった。  確実に死ぬよう、毎日暗い部屋で考えた殺し方だ。あれで死なぬは人ならず、といったものだろう。 「君は彼女達から酷い虐めを受けていた。違いないね?」  何度も聞かれた内容に、私は粛々と頷く。  素人考えだけれど、その事実があったとしても量刑に変わりはないように思えた。  それだけのことを、私はしたのだ。 「……まだ、話せないのかい?」  私が口を開くことはない。  目の前にいた警察にも、ガラス越しの弁護士にも、モニタ越しの裁判員にも、何も語るつもりはないのだ。 「君に話してもらわなきゃいけないことは沢山あるんだけど」  何が叶わないのか、今の私に判断ができると思えなかったからだ。  しかし、弁護士の彼が「一つだけ、質問がある。答えてほしい」と聞いてきたことだけは、聞き流せなかった。 「償うつもりは、あるのかな?」  その質問は、今の私にとって最も答えたいものだ。  勿論、ある。  自分で蒔いた種だ。  何をしてでも、償いたい。  答えない私に、施設の係員が面会時間の終了を告げた。  ため息をつき、片付けを始める弁護士を背に、私は再び牢に戻される為立たされた。  一言だけ、声を掛けようと思ったのだ。
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