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ただ一つ、償いたい、と。
それが例え死刑という結果になろうと、償う為なら甘んじて受け入れるつもりであると言おうとした。
背後の彼を見て、息を吸い込み「あの……」と声を発した――――次の瞬間。
ふいに、足音が聞こえた。
「自分で声帯を抉り出して死亡、か。こんなことがあるのか?」
「いえ、医者や鑑識に聞いてもこんな事例はないと」
「なんにせよ、管理の甘さだな。結局、奴は何も話さずか」
「後味の悪い事件でしたね。なんというか、訳が分からない内に全部が終わったような」
「そうだな……もしかすると、被告人も何も分からない内にこんなことになったのかもしれない……ん?」
「どうしました?」
「何か、足音が聞こえないか?」
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