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ほとんど同じ時間帯に生まれてきた三人は、誕生のその時から今までずっと一緒だ。 十七年間、離れたことなんて一度も無かった。 「うん、帰ろうか。」 由輝は教室の入口に視線を向けると鞄を持って席から立ち上がる。 それを見て、直人は何も言わずに廊下を歩き始めた。 「えっ、ちょっと直人… 由輝早く!のんびりしてたら直人に置いてかれちゃう!」 叫んで、二人で直人に駆け寄る。 直人はなんだかんだで二人を待つようにゆっくり歩いていたため、すぐに追い付いた。 不器用な彼に由輝が笑う。 そんな由輝に直人は鞄を当てる。 「いてっ。」なんて言いながら、由輝は相変わらず笑っていた。 こうして二人がじゃれ合う姿を見ているのが好きだった。 何気ない日常が大切で。 愛しくて。 何よりも守りたかったの。
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