第一章

10/15
前へ
/217ページ
次へ
三年目、ついに上司も僕に見切りをつけた様子だった。 それは、おそらく上司だけの判断ではなく、会社としての判断だったのだと思う。 これまでとは一変して、怒鳴られる毎日が続いた。 これまで声をかけてくれていた同僚たちも、次第に僕から離れていき、遠巻きに僕が怒鳴られている姿を見るようになった。 あるいは、影に隠れて笑っている者も居たのかもしれない。 だけど、僕にはそんな状況を払拭するだけの仕事をすることもできなかった。 僕はただ苦しむことしか出来なかった。 毎日が憂鬱で、自分でも何をしているのかわからなかった。 毎日会社に出勤して、怒鳴られて、こっそりと笑われた。 僕の中には絶望だけが積み重なっていった。 死んでしまいたいと思ったことも何度もあった。 駅で電車を待っている間に、電車に飛び込む姿を想像したことは何度もある。 それでも僕は、死ぬわけにはいかなかったし、会社を辞めるわけにもいかなかった。
/217ページ

最初のコメントを投稿しよう!

340人が本棚に入れています
本棚に追加