第一章

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僕には妻と子供がいる。 入社一年目のときに、僕は結婚した。 相手は大学に通っていたときから付き合っていた恋人だ。 とても優しい女性で、僕の全てを受け入れてくれた人だった。 彼女は僕が勉強以外の何も出来なくても、僕と一緒にいてくれた。 そして、いつも僕を支えてくれていた。 僕が苦しいときも、いつもそばにいてくれて、優しい言葉をかけてくれた。 そして、結婚して一年後、僕たちの間には長男が生まれた。 僕は妻も子供も好きだ。 僕の大切な家族だ。 彼女たちを路頭に迷わせるわけにはいかなかった。 たとえ僕がどんなに苦しい思いをしても、彼女たちが幸せでいてくれるのならば、それでよかった。 だから、僕はどんなに怒鳴られても、どんなに嫌な目にあっても、会社に通った。 僕にはそのくらいしか、彼女たちのためにできることがなかった。
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