第八章

2/37
340人が本棚に入れています
本棚に追加
/217ページ
部屋の中に杏の姿はなかったが、シャワーの音が聞こえていたせいで、彼女がシャワーを浴びているのだということはわかった。 僕はベッドから抜け出し、部屋の隅においてある冷蔵庫を開けた。 中には缶ビールが五本と、日本酒のカップが二本、小さなウィスキーのボトルが一つに、烏龍茶の缶が二本入っていた。 僕は冷蔵庫の扉を開けたまま、少し考えてから、ビールの缶を取り出した。 そして、ベッドの端に腰を下ろして、ビールの栓を開け、一気に半分くらい飲んだ。 ビールがよく冷えていたせいで、頭の芯がズキンと痛む。 僕は一瞬、グッと全身に力を入れたが、その痛みはすぐに僕の頭から去っていった。
/217ページ

最初のコメントを投稿しよう!