第八章

12/37
前へ
/217ページ
次へ
杏はゆっくりと上半身だけを起こした。 そして、ベッドから降りると、クローゼットの中から鞄を取り出した。 彼女はベッドに戻らず、ソファに腰を下ろすと、鞄の中からタバコを取り出す。 マルボロのメンソールだ。 彼女はタバコを口に咥えると、備え付けのマッチを擦って、火を点けた。 マッチから立ち上るリンの香りが僕のところまで漂ってくる。 そして、リンの香りがしなくなると、代わりにマルボロの煙が僕の方に漂ってきた。
/217ページ

最初のコメントを投稿しよう!

340人が本棚に入れています
本棚に追加