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やがて、人事課の人間が異動命令を持って現れ、それを掲示板に貼り付けた。
その瞬間、掲示板を囲っていた人だかりが、一気に掲示板目掛けて集まった。
何人もの人間に揉まれながら、僕も何とか掲示板の前まで辿り着いた。
多くの人間の名前と異動先が、掲示板に貼られた紙切れに記載されていた。
そこには僕の名前もあった。
僕の異動先は隣県の小さな町にある営業所だった。
本当の幹部候補だったら、決して配属されないような営業所だ。
それは同時に、僕が幹部候補から外されたということを意味していた。
それを僕はただ受け入れるしかなかった。
それ以外、僕に出来ることなんて、何もなかった。
僕を毎日怒鳴りつけた上司は、一つ上のポストへと、駒を進めていた。
そして、僕は今、ここにいる。
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