第八章

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杏は烏龍茶を飲み終えると、ベッドに戻ってきた。 そして、静かにゆっくりと僕の隣に横たわる。 それから、そっと僕の手を握る。 杏の手は、小さく、そして柔らかかった。 僕はそっと手に力を入れ、杏の手を握った。 杏はゆっくりと僕の方に体を向けると、黙ったまま僕の顔を見つめて、それから僕の頬にそっと唇をつけた。 「私、こんなことを話したのは、あなたが初めてよ」 杏が言った。 「うん」 僕は頷いた。 「だけど、私はずっと誰かに聞いてほしかったのよ、たぶんね。今まで、そんな風に意識をしたことが無かったけれど、私は心の底では誰かに聴いてもらいたくて仕方が無かったのよ。今の私にはそれがよくわかる」 「どうして、僕に話そうと思ったの?」 「わからない」 杏は首を横に振りながら言った。 「だけど、おそらくあなたに話したことは間違いじゃない。少なくとも、あなたは私の話を聴いてくれるし、聴きたいと思ってくれているわ」 「確かに」 僕は答えた。 そして、「続きの話ももちろん聴きたいと思っている」と付け加えた。
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