第八章

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僕たちはしばらく黙ったまま、手を握り合っていた。 そこには僕の温もりがあって、杏の温もりがあった。 それらは、混ざり合って、一つになっていた。 僕は今ここで杏を抱けたらどんなに幸せだろうと思った。 そして、彼女もそれを望んでいるように見えた。 もちろん、妻に対する罪悪感はある。 僕は妻のことを愛しているし、これまでに浮気と呼べるようなこともしたことがない。 だけど、僕は今、間違いなく杏を求めていた。 そして、僕のペニスは硬く大きく勃起していた。 どうしてそんなふうに感じるのかは僕にはわからない。 それはこれからわかるのかもしれないし、永遠にわからないかもしれない。 何にせよ、そこにある真実は、僕が杏を求めているということだけだ。 僕は杏を裸にして、抱きしめて、唇を合わせて、彼女の中に入りたいと感じている。 それが、真実だ。
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