第ニ章

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僕は電車に乗り込み、空いている座席に腰を下ろした。 前の座席に座っている男性は眠っているらしく、時々小さな鼾が聞こえてきた。 僕は鞄の中から本を取り出した。 随分前に買って、読むことも無く本棚にしまってあった本だ。 この三年間、本をゆっくりと読む時間なんて僕には無かったのだ。 僕が本を開いたのとほぼ同時に、電車は走り出した。
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