第十一章

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「僕だって努力はしているさ」 「そうかしら?」 「どうしてそう思うの?」 「きっと、あなたには勉強をすることに関しては才能が備わっているのね。だからきっと大した勉強もせずに、良い成績だっておさめることができたし、難しい大学に入る事だってできた。そうじゃない?」 「わからないな」 「自分では感じていないだけよ。だけど、間違いなくそうなの。そして、あなたはこれまでにろくに努力をするということをしなかった。努力をしなくても、そこそこ上手くやっていくことができたからよ。あなたに一つだけでも才能と呼べるものが備わっていたから。だけど、勘違いをしてはいけない」 「勘違い?」 「そうよ。あなたは、決して全てに長けた人間ではないわ。勉強をすること意外に関しては、決して才能が備わっているわけではないわ」 「そんなことはわかっているさ」 「だけど、あなたは努力をしようとはしない」 「そんなことはないさ」
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