第十二章

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「わからない。だけど、僕は現実に夢精したんだから、おそらく大人でも夢精をするんだと思う。あるいは、ただ僕が特別なだけなのかもしれない」 「寝ている私を襲おうとしたわけじゃないのね?」 「誓って違うよ」 僕は力強く言った。 何だか言い訳をしているみたいだったけれど、決して僕は嘘をついていない。 「だったらいいのよ」 杏は言った。 杏は裸のままベッドを抜け出すと、ソファに腰を下ろしてタバコを吸った。 そして、タバコを吸い終えると、冷蔵庫の中から日本酒を取り出して、一口啜った。 彼女は僕にも、「飲む?」と、酒を勧めたけれど、僕は会社に行かなければならないからと言って断った。 杏は日本酒を半分くらい飲んでからベッドに戻ってきた。
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