第ニ章

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気がつくと、電車の外は仄かに明るくなっていた。 時計を見ると、針は六時二十分を指していた。 まだ、あと一時間は電車に揺られなければ、僕は会社に辿り着くことはできない。 昨日までの僕ならば、ようやく目を覚まして顔を洗っている時間帯に、今日の僕はこうして電車に揺られている。 そして、これから何年間かは同じことを続けなければならない。 あるいは、僕が仕事を辞めてしまえば関係ないのかもしれないけれど、そういうわけにもいかなかった。
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