第ニ章

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僕は再び本に視線を落とした。 つまらない恋愛小説だ。 文章も構成も稚拙だ。 どうしてこんな本を買ったのか、はっきりとは思い出すことは出来ない。 もともと僕は本を読むのが好きだけれど、何でも読むということはない。 特に、恋愛小説に関していえば、殆ど読むことは無い。 だから、多分、何かの理由があって、この本を買ったのだろうと思う。 誰かに薦められたたのか、あるいは何かで話題になったのか、それは思い出せなかった。 その理由もいつか思い出すかもしれない。 あるいは、一生かかっても思い出せないかもしれない。 だけど、どちらにしても、僕がこの本を買った理由なんて、今となってはどうでもいいことだ。 今の僕には、この本を読むこと以外にすることなんてたいして無いのだ。 せいぜい、窓の外の景色を眺めるか、あるいは、眠ってしまうことくらいだ。
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