第ニ章

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カウンターの女性はすぐに僕に気づき、声をかけてきた。 僕が今日からこの営業所に赴任することになった旨を簡単に伝えると、女性は僕を奥の方にいた禿頭の男の前に案内した。 男性は、これから僕の上司となる人だった。 僕が形式的な挨拶をすると、上司はよろしくと言って、僕に右手を差し出した。 僕はゆっくりと手を差し出し、その手を握った。 その手は汗でしっとりと湿っていた。
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