第一章

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一年目は、新人社員だからということで、少々仕事が遅くても誰も何も言わなかった。 僕に厳しくすることによって、僕が会社を辞めてしまうことが怖かったのかもしれない。 仮にも幹部候補として採用され、会社の上層部も注目する僕が早々に退職したとあっては、僕の上司の管理能力が問われることになるのは目に見えているからだ。 あるいは、将来、僕が幹部になったときに、立場が逆転して、僕に酷い扱いをされるのが怖かったのかもしれない。 だから、僕は特に咎められることも無く、最初の一年を過ごした。
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