第一章

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だからといって、僕自身もその状態に満足していた訳ではない。 自分でも、仕事が出来ていないことは十分に感じていた。 成長することができていない自分に苛立ちを感じていた。 大学を卒業していない職員にすら僕は敵わないということを、僕は痛いくらいに実感していた。 それが悔しくて仕方が無かった。 出来ることならば、誰もが羨む様な、仕事の出来る人間でありたかった。 だけど、僕にはもともとそんな資質は無いのだ。 僕は、僕に出来る範囲で精一杯努力するよりほか無かったのだ。 だけど、勉強と違って、僕がどんなに努力しても、仕事はうまくいかなかった。 勉強ならば要領良くできる自信もあったし、これまでもそうしてきた。 だけど、どうしても仕事は同じようにはいかないのだ。 もはや、何をどのようにすればよいのか、僕にはわからなくなっていた。 僕は次第に自信を無くしていく自分に気がついた。 そして、そのことが更に僕を苦しめた。
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