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門をくぐって入り口へと向かう。遠くから見ているとそうでもないが、建物は以外に大きい。自動ドアなんてものはとうに誰かの手によって壊された形跡があり、そこからぼくたちも侵入を開始した。
「なんか、ここ薄気味悪いな」名前の知らない三人の内の誰かがそう言った。
「えっ? 来たことあるんじゃないの?」
手嶋が当然ともいえるリアクションをとる。
「ん? ここは初めてだよ」
「釜石ーー!!嘘ついたなー!!」
「なんだよ。びびってんのか!?」
「ぐぬぅーー!」
「手嶋、離れると危ないよ」
ぼくの声を聞いた瞬間、青ざめた顔になり、シュッと僕の後ろの定位置におさまった。
入って正面が受付け、右側には処方箋を渡すカウンターがある。左側にエレベーター。ちなみに、この時点で初めてこの建物が4階建てと知った。
「どうする? 2階に行くか?」
「ここは何もなさそうだしな」
階段は2つ設置されており、ぼくたちは近い方の階段へと足を運ぶ。確かに不気味なところだが、それよりも徐々に手嶋がぼくの服をひっぱる力が強まっていることを懸念しなければならない。千切らないでくれよ。
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