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同日 6月9日 午後7時55分
「なんだ。宮間君来ないかと思ったよ」
「そういう手嶋も来てるじゃないか」
家に帰ると、母さんが一人黙々と料理の練習をしていたので、その居たたまれない空気に耐えきれなくなって思わず家を飛び出した。
「いや、あそこの電信柱の後ろで見てたのさ」
あぁ、あの視線は手嶋のだったのか。こいつ、ぼくが来なかったら帰るつもりだったんだな。
「それにしても遅いね。釜石が8時って言ったのに」
──「おーい!」
ん?
─────「おーーい!」
「あれじゃないかい?」
指差した先に、釜石を中心とした4人の集団がいた。
「遅いじゃないか」
「悪い悪い。おっ、宮間来てるじゃん」
お前が呼んだんだろ。
「まっ。早く行こうぜ」
カチッ。手嶋を除く全員が懐中電灯をとりだす。
「あれ?なんでみんなライト持ってきてるんだい?」
「えっ? 手嶋持ってきてないの?」
「流石手嶋だなー。幽霊なんて怖くないとかか」
「えっ? うそ? ちょっと宮間君。後ろついて行って良いかい?」
「あっ、うん。……構わないけど」
それを見た釜石が、「ははーん。そういうことか」
「どういうことなのさー」
「おいおい。初っぱなからケンカはやめようぜ」
「そうだな。さっさ行こう!」
釜石を先頭にして歩き出した。
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