とある青年の恋の話

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舞台上、フクイ、シラカワ、シモムラ、ネギシ フェードで明転。 電話の発信音 台詞もフェード気味に フクイ「もしもし、俺だけど。ああ、今日も帰れない。だから、俺だって忙しいんだって、しょうがないだろ研究職なんだから、あ?たかがきのこってなんだよ、違う、エリンギじゃない、マイタケ!・・・・・・切れた」 シモムラ「あーあ、フラれたな。」 フクイ「違う、ちょっと修羅場なだけ、…あーあ、とんだ誕生日だ。」 ネギシ「それは災難だったね。だがしかしフクイくん、職場に恋愛を持ち込むのは、よくないねぇ。我々化学者は職に身を殉する覚悟で、いてくれないと。そうだ、ユカワ君お茶持ってきて。」 ユカワ「はーい。ただいま」 シモムラ「しかし、さすが生涯、独身、童貞と純潔を貫く男。ネギシ局長っすね」 フクイ「モテないだけじゃないんですか?」 ネギシ「ちがう!モテないんじゃない。モテる時期を遅らせてるだけだ!いつかくる。」 フクイ「なんですか、その30代女性(独身)がいいそうな言い訳は。だいいち局長もう67さ」 シモムラ「バカそれは禁句だ」 ネギシ「そうだよね、もう67だもんね。老いぼれだよね。お先真っ暗だよね・・死の」 フクイ「ちょっとネギシさん」 ネギシ「タナカくーん、毒キノコの棚ってこれだよねえ、タナカくーん?」 フクイ「ちょっとシラカワ!パソコン弄ってないで、止めろよ!」 シラカワ「ゴメン、俺仕事中」 ネギシ「はは、僕の命は仕事より軽いんだ。そうだよね、友達いないしね、これだ、ヤバイダケ」 フクイ「おいシモムラ手伝え!」 シモムラ「ハイハイ」 フクイとシモムラ、ネギシを抑える ネギシ「とにかくフクイくん。振られたぐらいで何を言ってるんだ。その前は付き合ってたんだろ。くそが」 フクイ「だからまだ振られてませんって」 シモムラ「しかしよくもまあ、振られるほど残業するよな」 フクイ「だから勝手に振られたことにするなって」 シモムラ「はいはい、それよりシラカワさっきからなにやってんだ」 シラカワ「広報担当もいろいろ大変なんだよ、シモムラ君」 シモムラ「いろいろって何さ」 シラカワ「たとえば、ほらこれ。子ども理科相談室に質問を送ってくるバカ共への回答とか」 シモムラ「バカっていうなバカ」 シラカワ「そういうなって。見てみろよこれ」
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