狂気の始まり

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永「孝……手伝ってくれないか?」 孝「……何をだよ?」 永「あそこからなら地面まで真っ直ぐに……多分、ぶつかった衝撃で頭も割れる筈だ。」 志貴「……確かに、この高さで真っ逆様だ。 人間は頭が一番重いらしいから……グチャリ、だな。」 グロいね。 麗「何言って……」 永「俺は〈奴ら〉になりたくない!」 志貴「……永、俺がお前を殺そう。」 永「……ゴメンな、迷惑かけて…… でも、俺は最後まで俺でいたい……」 麗「志貴!!何言ってるの!?」 孝「………!!」 永「ありがとう―― うげぇっ!」 ビクッ バシャァア 永の体が大きく痙攣し、多量の血を吐き出す。もう、死ぬな。 麗「永!!いやあっ!死んじゃだめぇっ!!」 ゴトッ…… 永の手が、力無く床に落ちる。永は、死んだ。 身を持って俺たちに、油断したら、気を抜いたら、ヘマをしたらどうなるかを教えてくれた。 ……火葬は、出来そうに無いしな。永の骸を晒しとく訳にもいくまい。 偽の記憶を植え付けただけだが、仮にも俺の親友的ポジションだったのだから。 麗「だめぇっ!だめよぉぉぉ!!」 志貴「麗、離れろ。」 学ランのポケットからナイフを取り出す。 カシャッ 麗「な、何でそんなの持ってるのよ!!?」 志貴「仕方ないだろ。七夜の家宝だ、七夜の当主が肌身はなさず持ち歩く決まりになってる。」 孝「……また、七夜か?」 志貴「そうだ。まぁ、この話はいずれしてやるさ。 今は、永を殺すのが先決だ。」 麗「だめぇっ!そんな事しちゃ駄目!!ならないわ! 永は〈奴ら〉なんかにならないわ! 永は特別なのよ!!」 志貴「離れろ。俺の予想だが、また動き出すまでにそんなに時間が無い。」 まぁ、一度目の前で親友が奴らにならないと……覚悟も糞も無いか。 ったく、永の最期の願いは叶えてやれねーや。
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