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土方の様子に薄く笑みが零れた。 普段『鬼の副長』と呼ばれ恐れられてはいるが、元々面倒見の良い兄貴肌の人だ。自分のせいでそんな状況になったと知れば、少なからず気に掛けている鈴音を放っておけるはずがないのだ。 「それと、そろそろ嬢ちゃん迎え入れる準備もした方がええと思いますよ」 その言葉に土方は反らした顔を戻す。 「あ? なんでだ? まだアイツの情報の裏が取れてねぇだろ」 いつも通り顔を顰めてはいるが、声のトーンが若干違う。 他の人達には分からへん位の変化やけど、監察をナメてもろたらイケまへんよ。人を観察するのが本職のワイの目は誤魔化せへん。 「裏なんか早々に取れまへんよ。そないに長い事嬢ちゃんをアッコに置いとく気ぃですか? 客が見といてくれるゆうたかて、四、五日だけですよ。そん後はどないする気ぃですか?」 「お前がいんだろ?」 「ワイかて潜入してしもたら、付きっ切りはできしまへん。座敷が違えば一人にさせてまうし、風呂まではついていけへんし……」 「お前風呂までついていってたのか?」 呆れた様な土方の声に、ため息が出た。 「そないな訳ないですやろ。ただ状況が変わってしもたんですよ。あの女が何しでかすか分からへんよって……」 逆に呆れた顔を土方に返す。
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