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女将が視線を島田に戻す。 「このくらいの器量なら、これでどうどすか?」 そろ盤を弾き、島田に見せる。 私の値段だろうか? まさか値付けされるとは思っていなかったので驚いたのと同時に、不安になる。 お金受け取ったら、ここから出れないんじゃないの? たしか身請けされないと出れないとか……まさか私、土方さんに売られたの……? 嫌な想像だけが頭を過る。 「いえ、この金子は受け取れません」 島田の声にハッとし、島田を見る。 「一ヵ月程で迎えに来ますので、妹に賃金だけ渡してやってください」 そう言って頭を下げる。 知らぬ間に体が強張っていたようで、スッと力が抜ける。 安心したものの、土方を疑ってしまった事に罪悪感を感じた。
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