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「その客はどうやら土方はんの尻拭いを買って出たそうですよ」 ニッコリと笑みを浮かべて、務めて明るい声でサラリと言う。 「は? 俺の?」 意味が分からないといった様子で腕を組む土方に、説明してやる。 「なんや、こないだ土方はんが暴言吐いた女に、嬢ちゃんが苛められてるらしいんです。で、その現場に居合わせた客の連れが女を諌めたところ、逆上してしもたらしくて、更に状況悪化してしもたよって、その客が面倒見てくれるらしいです」 土方は心当たりがあるからか、話を聞きながらも忙しなく目を動かし、蟀谷(こめかみ)を掻いていた。 「嬢ちゃんが苛められるようになったんは、元は土方はんのせいですやろ?」 土方はバツが悪そうに黙り込んでいる。 「それをその客は助けてくれるゆうてんのやから、その言葉に甘えたらええと思いますが?」 土方は他に良い案も無い様で「勝手にしろ」と、ソッポを向いてしまった。
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