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結局何も良い案が思い浮かばないまま、栄太郎の下へと向かった。
栄太郎の隣に座り、ふと気付いた。今日は雛菊と座敷が一緒になる事は無いのだから、栄太郎に守ってもらう必要は無いという事に。
早く気付けば良かったと思ったが、気付いた所でそれを知らせる手段が無いのだから同じ事だ。どのみち栄太郎に無駄足を運ばせる結果だったのだという考えに至り、素直に謝った。
謝罪を聞いた栄太郎は興味無さそうに「元々来る予定だったんだから、どうでもいいよ」とあっさりと許してくれた。そう言ってもらえてホッと胸を撫で下ろす。
「今日は酒はいらない」と言う栄太郎に、里にお茶を持ってきてもらい出す。
お酒を飲まないのは、明日朝早くに出発するからだろうと勝手に解釈して、ふと疑問を持った。
栄太郎はいつ寝ているのだろう? 夕方にここに来て、一睡もする事無く朝方に帰ってゆく。京には用事があって滞在している訳だから、昼間も活動しているはずだ。この3日間まともに寝ていないのではないだろうか? 昨日お酒をあまり飲まなかったのも、疲れで体がお酒を受け付けなかったから……?
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