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「その無駄な抵抗いい加減止めたら?」
栄太郎は深い溜息を吐き、面倒くさそうに呆れた視線を送ってくる。
「まだ君の下手な嘘が通じるとでも思ってるの? どうせ吐かされるんだから潔く白状しなよ」
やはり誤魔化しきれないか……と苦笑いを浮かべ、何故か「すみません」と謝ってしまった。
しかし、栄太郎を寝かせたいなどと言ったら、どんな反応をするのだろうか? 怪訝な眼差しを向けられるか、呆れられるか、余計なお世話だと切り捨てられるか……。どれも有り得そうだ。
上手い嘘も思い付かず誤魔化す事もできないし、本当の事を打ち明けても玉砕してしまいそうな状況で、考える事にもほとほと疲れてしまった。
もういいや……女は度胸って言うし、直球勝負で当たって砕けろよ!!
訳の分からない覚悟を決め、半ばやけくそで口を開く。
「栄太郎さん!! 寝てください!!」
栄太郎を真っ直ぐに見つめ、真剣な眼差しで懇願するように言い放った。
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