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「え?」 栄太郎の赤面に目を見開く。 栄太郎は目を泳がせ、明らかに狼狽えている。なんで? と理由を探るが分かるはずもなく……。しょうがないので直接尋ねるしかない。 「栄太郎さん? どうしたんですか、急に。私何か変な事言いましたか?」 私の問いに栄太郎はまた驚いた様に目を見開いた。 「何って……君、自分が言った事覚えてないの?」 「え? 覚えてますよ。寝てくださいって言ったんです」 もう一度繰り返すと、栄太郎はまた目を泳がせ、落ち着かない様子で頭を掻いている。 「だから…それが……」 栄太郎には珍しくゴニョゴニョと歯切れの悪い態度に、更に首を傾げる。 「それが?」 それが何だと言うのだろうか? それとは『寝る』という事を指しているだろう事は分かるが、それで何でここまで栄太郎が狼狽えているのかはサッパリ理解できない。 「いや…だからさ、まさか君からそんな事言われるなんて…想像もしてなくて……でも、そんなこと、軽々しく口にするもんじゃないよ」 軽々しく? あんなに考えた末の言葉だったのに……。 「…ちゃんと考えたもん……」 俯き、ふてくされた様に一人呟く。 どうやって寝かせようかと私なりに試行錯誤したのに……。そりゃ、頭は良くないから、良い案は浮かばなかったけど……。 自分の馬鹿さ加減を指摘され落ち込み、しゅんっとしてしまう。
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