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――――― 「栄太郎さん!! 寝てください!!」 僕の目を真っ直ぐに捉え、そう言い切った彼女の発言に驚きを通り越して不覚にも固まってしまった。 最初は何を言われたのか上手く理解できずキョトンとしてしまったが、言葉を頭が処理するにつれて思考が滞った。 固まったままの僕に呼び掛ける彼女の声で我に返るも、僕には珍しく動揺を隠せず、無様な反応を返してしまった。 逆に彼女はあんな事を口にしながら、恥じらう事も無く堂々としている。 僕の聞き間違えだろうか? とも思ったが、彼女はまた同じ言葉を繰り返した。 聞き間違えではないと分かると尚更混乱した。まさか彼女からそんな事を言われるなんて……。今まで女に言い寄られた事は数え切れないが、こんなに直球の誘いは初めてだった。しかも、それを口にしたのが彼女だなんて…… 彼女は色町にいるのが不思議な程男慣れしていない様に見える。幼い外見がそう思わせるのかもしれないが、汚れを知らない純粋な少女、そういう印象を持っていた。 話をしてみれば、自分よりも他人を思いやる事の出来る優しい心と、理不尽な苛めにも負けず、そんな苦境でも笑う事の出来る強い心を持っている事が分かった。 僕には無い綺麗な心と忍耐力を持つ彼女に、そしてどこか儚げで謎めいた雰囲気を持つ彼女に興味を抱いていた事は否定できない事実だ。
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