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それは朝の出来事だった。 いつもどうりの朝。 何も起きない朝。 私にとっては幸せな時間 。 先輩に会える。 先輩と一緒に登校出来る。 先輩の一番近くに入れる時間だったから。 ―――あ。雪だ。 さぶっ....。 突如私の首に温かい布が巻き付いた。 「!!」 後ろを振り向くと、 先輩がいた。 「あ。おはようございます。」 「おはよう。寒いね!」 「寒いです。雪降るなんて聞いて無いのに...。」 「確かに!」 「あの....。」 「ん?」 「これ先輩のマフラーですよね?」 「うん。」 「寒くないですか?」 「あー。うん。寒いね。」 「え!じゃあ返しますよ!!風邪引いたら大変ですし...。」 「良いよ。俺は。希紗ちゃんが風邪引か無ければ。」 「でも....。」 「ね?」 ダメだ... この人にそんな顔されたら、 断れなくなっちゃう。 マフラーには先輩の匂いが付いていて、先輩に抱かれているみたいだ。 「そういえばさ」 「はい!?」 「今日初雪なんだって。」 「そうなんですか。」 「初雪ってロマンチックだよね。」 「/////。」 何も言えなくなる。 「どうしたの?顔赤いよ?」 「何でも無いです...。」 こんなたわいもない話しをして行く時間が好きだった。 勿論、先輩も卒業するからずっと続くと思っていた訳じゃ無い。 だけど こんなにも早く終わるなんて...。 信じたくない。
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