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このバスジャック、松井の意思じゃないんだな。俺も同じ状況におかれたら、絶対ジャックしてるな。
普段は同情なんてしないが、今日はそっと松井に同情した。唯も他の三人もそれは同じだったようだ。
「そうですか。有り難うございます。話して下さって」
俺は感謝の言葉を言う。自然と敬語に再び戻っていた。
「自首したらどうですか。今なら間に合う気がしますが」
今度は啓大が提案した。
「分かった。けど、警察に何て言おうか分からないんだよ。あのメールの事は信じてくれなさそうだし」
「…でも、僕らは信じますよ」
匠が顔を上げて松井の目を見て言い張った。松井の事を哀れんだのか匠の目にはうっすら涙が浮かんでいた。
「そうですよ。松井さんを信じます。警察の方にメールを見せたらいいのではないですか?」
啓大も匠に同意した。啓大の言葉に松井は少し考える素振りを見せ、自分の胸ポケットに入ってあった携帯を取り出した。
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