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お互いに参考書を開いて問題を出し合っていると、私達二人の目の前をバスが横切って行った。
「待てーっ!唯、走るぞ」
水樹の声に私は必死に頷く。このバスを逃したらこの先の人生終わりだ。そんな気持ち。
バスに追い付くように私達二人は死に物狂いで走った。運良くバスはバス停から少し向こうの信号に引っ掛かっている。
私より先にバスに追い付いた水樹がバスのドアをガンガンと叩いた。それに対してドアがプシューと音をたてて開く。
「ふぅー。間に合った」
「だな。このバス乗んねぇとずーっと歩くはめになってたしな」
「ごめん。ゆっくり歩いてたからなぁ。今度から気をつける」
「何々~?お前西高に受かる気が満々なわけ?」
私の何気ない一言に水樹が異常に反応する。
「まぁ、いいからいいから。さっきの続き」
「お、おう」
私はこの時、このバスに乗った事で人生が大きく変わることをまだ知らなかった。
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