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「今からこのバスは淡路島に向かってもらう。お前らに拒否権などない。いいな?」
「あっあのっ、私は残りますので乗客の方々に降りてもらっても…」
運転手が震えながらも乗客を守るために提案した。
その時、男の携帯のメールの着信音がバス中に鳴り響いた。
男は眉をひそめながらメールを確認して
「いいだろう。しかし……」
と続けた。私は何か嫌な予感を感じていた。しかし私にはどうか降ろしてください。そう願う事しか出来ない。
「運転手とお前とその隣のお前。その前のトリオ以外降りても良いことにしよう」
案の定、嫌な予感は当たり、私達二人と、男と同じバス停から乗ってきた受験生らしき三人が選ばれてしまった。
さっきのおばあちゃんたちも静かにして降りていった。
「じゃあ、お前ら一番前の席に着け」
そんな命令に従うべく、私たち五人は渋々一番前の座席に着いた。
バスの中に重々しい空気が充満する。沈黙がしばらく続く。
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