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バス運転手を除く人質五人全員が自己紹介を終えた。
バス運転手は真っ直ぐ道路を見て運転しているため、自己紹介をするという気はない、というオーラを発している。
そんな中、俺は口を開いた。
「あの、お名前を伺ってもよろしいですか?」
これは男に向けた言葉だ。これが俺の真の目的。男はジロリと俺を見てから自己紹介を始めた。
「松井勝。20。大学生。以上」
松井が自己紹介を終えると沈黙が訪れた。
三分ほど経過したその時、俺はその沈黙に耐えられず、ガタッと音をたてて立ち上がった。
「動機は?何で淡路島?頷いたりばっかしてねぇーでちゃんと言えよ」
人が変わったかのように俺は捲し立ててみる。
そんな俺の横で唯はかなり焦っているようだ。おそらく、相手が発砲してこないか不安なんだろう。
そんな事分かっている。でも、松井と睨み合うのはやめないつもりだ。
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