1346人が本棚に入れています
本棚に追加
/514ページ
内心、呟くと同時に、なんとか発見する。そこに歩み寄り、ポケットから鍵を抜き払った。
そして、探り当てたドアノブの下の鍵穴に差し込む。ガチャリと音が立ち、俺は扉を開放して中に入り込んだ。
入って右側の壁に手を合わせ、照明のスイッチを押す。
灰色の殺風景な部屋に明かりが満ちた。
「各自、入念にストレッチをしておけ。固まった体で突然動くことはお勧めしない」
という、信の指示に俺や木原は素直に従った。ただ、最後に入ってきた奴は違う。
いつもなら、我先にとストレッチを行い、むしろ力入ってるんじゃないか? とすら思うのだが、だらっと力なく下げた腕を上げるそぶりすらしなかった。
竜一は、まだ今朝の模擬戦を引きずっている。
これはもしかしてあれか? 家の事情どうこうで、そう簡単に負けてはいけなかったとか。
だとしてもだなぁ。こんな生気のない奴に銃を向けるってのは……。
「おい、竜一」
「………………ああ」
小さっ! 羽虫の羽ばたきみたいに小さかったぞ!?
……いや、それはともかくとして、信は何を言うつも
「そんな情けない姿を見せていたら水沢が幻滅するぞ」
…………………………。
いや、見てない。
「……ぉぉぉおお……うおおおおお!」
何が起こったのか、突如としてりの口から声が湧いて出て来た。
「おおおおおお! っそうだな! こんな姿を見せるわけにはいかない! おおおっしゃあ!」
……いや、だから見てねぇっつってんだろ!
最初のコメントを投稿しよう!