エピローグ

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『暗黒時代 世界に嫌われた七人の英雄』 一章を読み終え、本を閉じる。 分厚くはない本を目の前の机に置きながら視線を持ち上げると、見知った顔があった。 金髪に同じく金の瞳。大人らしい完成された見る目を引く顔立ち。 その口元に笑みを含んで、置いたばかりの本を指す。 「またそれ読んでんのかよ。英一」 「ここでそう呼ぶのはやめてもらおうか、満月」 表情を崩さずに即座に言ってのけると、男改め満月は、肩を竦めながら、 「へぃへぃ、わかってるよ。無月殿」 わかっているとは思えない返答に、無月は目を細める。 一方で、満月は部屋の中央に設置されたソファから腰を離し、無月と机を挟んで向かい合った。 「で、それ、伝記だったっけか?」 出し抜けに問う満月に、無月は自分の椅子に深く座り直しながら答えた。 「これを伝記と呼ぶには、作者の気持ちが入り過ぎているがな。 おそらく彼は、全てを残したい一心で書いたのだろう」 「ふ~ん」 軽々しく鼻を鳴らしながら満月は腕を組んだ。 そんな彼を見つめ、無月は口を開く。 「それで、何の用だ? まさかそれを訊きに来たわけじゃないだろう」 「ん~、用がなかったら来ちゃいけないのかよ」 半ば文句のような口調に、無月は無言で答えた。その様子に満月は冗談だと言うと、 「あいつらからの定期報告があったからな。それを伝えに来た」 それを聞いて、無月は自然と体が強張った。
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