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昼休みも終わり、五時間目の授業が始まった。
ご飯終わりのこの時間は、睡魔との戦いが始まる。
…敵は、手強い。
「本能寺の変で有名な織田信長は……」
歴史担当の糸田先生は、バタバタと机に突っ伏していく生徒たちを横目に、呆れたようにチョークを黒板に書き付けていた。
しかしまともに授業を受けているのはごくわずか。
一応私もノートをとっているが、周りの生徒はほとんど寝てしまっている。
テストが近くなったこの時期でも、睡魔という魔物に勝てるのは、どうやら少数人だけのようだ。
授業終了まであと10分。
ぼんやりとする目をこすりながら、私は夢うつつにそう自分に言い聞かせた。
昨日はしゃぎすぎて、いつもより一時間も遅く起きていたせいか、今日はえらく眠い。
徐々に重くなっていくまぶたをこじ開け、どんどんと埋まっていく黒板の文字を必死に写していく。
書きすぎたのか、手が痺れて感覚が無くなっていたが、睡魔を追い払うためには丁度いい刺激となった。
キーンコーン…
ずらりと並んだ黒板の文字を淡々と書き続けていた私の耳に、軽快な音が響く。
それは、授業の終わりを告げるチャイム。
そして、夢におちていた生徒たちの目覚まし。
「きりーつ」
そして委員長がそう言ったのと、生徒たちがぞろぞろと立ち上がり始めたのは、ほぼ同時だった。
「礼」
ありがとーございましたー
あちらこちらからバラバラに聞こえる挨拶。
それを聞いた先生はまた、呆れたように眉を寄せた。
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