41人が本棚に入れています
本棚に追加
───ごめんなさい…
小さな声。
暗闇に響く、誰かの囁き。
黒にこだまする、か細い謝罪。
なに…?
あなた誰なの?
───ごめんなさい
なんで謝るの?
問いかけても、返事はなくて。
───ごめんなさい
真っ暗な世界。
自分の体すら見えない闇のなか、それでも声は繰り返す。
───ごめんなさい
壊れたビデオテープみたいに。
───ごめんなさい
延々と。
───ごめんなさい
繰り返される声。
分からない…。
何なのか、これは。
意識がぼんやりとする。
───ごめんなさい
声は続く。
…その時。
───ごめんね…
ごめんなさい…
あんなことをしなければ、
こんなことにはならなかったのに……。
…違う、誰かの声がした。
最初のコメントを投稿しよう!