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「…痛いよ、晴也。もっと普通に挨拶できないの」
「だって、志乃の背中曲がってたし。」
よく分からない理屈を述べながら、悪びれた様子もなく、晴也はふらりと私の隣に並んだ。
彼いわく、『一緒に登校してやる』んだそうだ。
「…にしても今日、寒いね。」
「そうか?俺は全然普通だけどな。」
「ほんとに?私、着込んできたのにまだ寒いよ。」
「ばぁーか、それはお前が悪いんだろ。」
言って、晴也は私の頭をぐしゃぐしゃに撫で回した。
そのおかげで私の髪は爆発したみたいに乱れ、セットはぐちゃぐちゃ。
「わっ、何するの!せっかく整えたのに……」
「ははは、ウケる!その髪型、いいんじゃねぇ?」
お腹を抱えて笑う晴也を横目に、私は懸命に髪を直した。
もつれた髪をほどき、手櫛で整える。
そうしたことで何とか、綺麗にまとめることができた。
「…せっかく髪型、キメてやったのに」
しかし元通りになった私の髪を見て、晴也はなんだか不服そうに、そんなことを呟いていた。
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