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ある親をよく目にしないか。 手塩にかけた子は挫折を味わい、自身の生い立ちを省みて父母の至らなさを嘆く。 数ある糸の内からそれが全てを支えているかのように子は自身を再編する。 不安定な積み木は幾度も重ねることによっていつしか歪な安定を見る。 吸着した染みは繊維を際限なく侵食し、いつしか薄汚れた衣服を作り出す。 ああ、悲しき哉。 小さな小さな綻びは大きな大きな『ほつれ』となって人々の目にとまる。 愛を授けましょう。 智を授けましょう。 愛を授けましょう。 ああ、悲しき哉。 もう、それだけでは足りないのだ。 子は親への敬愛を失い。 親は故無き反駁に気を狂わせる。 血の間にも他者の関係が埋め込まれ、曇りない磨りガラスで揚々と人々は語る。 ああ、悲しき哉。 人は変わってしまった。 産み落とされた螺旋に終わりはくるのだろうか。 報われず、救われず、履き違えた縁(よすが)にすがってどこまでも落ちていけ。
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