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柳 季美香(やなぎきみか)は教師の英文法を説明する声もろくに聞かず、ある一点を凝視していた。 それは近頃、季美香の癖ともいえる常習化した行動である。 視線の先には一人のクラスメートがいる。 どことなくシャープな雰囲気を持った体躯に、理知的な光を帯びた柔らかに弧を描く瞳を持った青年。 彼は季美香のクラスの学級委員である。 季美香の座席は彼の二つ斜め後ろで、少し前に席替えをしてから隙を見ては彼の横顔を凝視、もとい盗み見ている。
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